matsuzakiのブログ

語源から考えるホントの語源

豆腐になぜ腐を

豆腐の腐
.豆腐になぜ「腐」を
 豆腐は中国で7~9世紀に造られ、当初は菽乳、豆乳等と呼ばれていたようですが、豆腐と書物に出たのは、清異録(陶穀965年)です。 現在も中国と日本で豆腐(トウフ)と呼ばれています。
  なぜトウフに腐という文字を使ったか、いろいろな見解があります。腐はブルンブルンするもの、ぶよぶよしているもの、コロイド状のもの等をいうとか、中国では腐には柔らかいという意味がある、も言われています。しかし、中国の古代から、日本でも、「腐」にはくさる、ぼろぼろになる(腐葉、腐植)の意味しかないのです。
  腐という文字は、府(倉という意味もある)に肉を入れておくと柔らかくなるので、腐には柔らかいという意味もある、との見解も見ますが、倉(府)に肉を入れておくとくさるから腐だと思うのですが。
 いずれにしても皆豆腐の性状を念頭した考え方になっているようです。
 長くなりますので、結論を簡単に書きます。
  大豆は、そのたんぱく質、せんいの消化が悪く食べにくいものです。古代からふやかした大豆を石臼でドロドロに砕き(磨爛という)、これを加熱してたんぱく質を変質させ(爛熟という)、繊維を取り除いて豆乳を造っていたのです。加熱しないものはそのまま粥に入れ一緒に煮て食べていたようです。
  さて、豆乳を西北遊牧民族の常食の乳餅(畜乳を脱脂して、酸で固めたもの)の造り方を真似て豆乳を固めたものと思います。これが菽乳(ここでの乳は乳白色の塊の意味の乳です、畜乳の乳ではないのです)、豆腐と呼ばれたものと思います。 
  なぜ豆腐としたかは、磨爛と爛熟から腐熟という熟語に注目しました。爛もくさるという意味があり、腐と置きかえられるのです。
  中国語辞書で腐熟を引くと、「胃の働きの初期消化のこと、白くドロドロした状態」とあります。 正に、水でふやかした大豆を石臼でドロドロにして加熱したものと極めて似ています。古代中国の「難経(漢方医学の教書的な本)」に胃の働きの説明にこの腐熟がありました。
  豆腐は「大豆を腐熟したもの」であるから豆腐としたものと考えます。

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