matsuzakiのブログ

語源から考えるホントの語源

へちまの語源

ヘチマの語原について
 ネットで「ヘチマの語源」で検索すると、判で押したように、「江戸時代に中国から
入った糸瓜、愛称でヘチマと呼んでいる。なぜヘチマなのか? 江戸時代の方言集に
 ヘチマはイトウリのイの上落しトウリと言った。トは「ヘとチの間だからヘチマという」と。書かれた本があったので、これが語源になっており、どこを見てもこの「ヘとチの間」が主流になっている。
  これに異論があることはほとんと広まっていないのです。どなたも新説を出されていません。筆者が挑戦しました。
  この糸瓜(ヘチマ)が載っている資料を時系列でまとめてみます。
 1595年 《羅葡日対訳辞書》 fechima(ヘチマ)という単語が出ている。
         (ヘチマの初出) ポルトガル語のローマ字です。
 1604年 《日葡辞書》 日本語でfechima(ヘチマ)とある。〝カボチャ・ひょうたんの一種の愛称″とある。"
 1612年 《多識編》  本草書。巻三 菜部に「糸瓜」あり。俗に「倍知麻ヘチマ)」とある。
  1775年 《物類称呼》 糸瓜、 「ヘとチの間」だからヘチマという。
室町時代の後期から「ヘチマ」であり、江戸の初期から糸瓜がでてきて、「ヘチマ」は「糸瓜」の俗名となっています。
   要するに、最初から「ヘチマ」とも呼ばれていたが、その由来は分からなかった、ということでしょう。
 《物類称呼》にあるように、「ヘチマ」と言った人がいたのでしょう。 江戸っ子の言葉遊びと言う方もおりますが、その200年も前、江戸時代前から「ヘチマ」と言ったのです。
 もう一度書きます。1595年《羅葡日対訳辞書》に fechima(ヘチマ)という単語が出ている(ヘチマの初出)のです。 ポルトガル語のローマ字です。
また、1604年《日葡辞書》日本語でfechima(ヘチマ)とある。〝カボチャ・ひょうたんの一種の愛称″とある(ポルトガル語で)。と書いてあるのです。"
 江戸時代前から「ヘチマ」が食べ物類であったのです(薬・化粧水にも使われた)。
  
 では、ヘチマは何で、どこから出てきたのでしょう? 筆者の説を紹介します。
  いろいろ調べてみて、どなたも正鵠を射るような説をお持ちでないことも分かりました。それだけ難しいことなのでしょう。
  とすると、「何かの間違い」であろうということが有力になってきます。渡来した他の物の名前と間違えたのでしょう。 
 「ヘチマ」という(或いは、ヘチマにきわめて似た)名前のものと間違えたのでしょう。 渡来先(中国)で「ヘチマ」と呼ばれるもの(食べ物か薬類)があったのだろうか?
なぜ、薬類かーー糸瓜は古くから薬になっている(1640頃≪本草綱目≫)
  なんと、「糸瓜」の渡来先、中国に、中国語で「ヘィチマ」という食べ物で、日本に「糸瓜」以前に伝わって、今でも食べているものがあるのです。それは「黒胡麻(黒ごま)」です。ゴマは中国語での正式名称は「胡麻フ‐マ」で、別名「芝麻」(チマ)といいます。中華料理にある、ごま団子は、中国では「芝麻球」といって、チマチュウと呼んでいるのです。また、「芝麻醤」チマジャン(ゴマ味噌)でもおなじみです。そして、黒ゴマは「黒芝麻」(へィチマ)なのです。
中国人が〝へィチマ〟というと筆者には〝ヘチマ〟と聞こえるのです。そう聞こえてもおかしくありません。では、糸瓜と黒胡麻の接点はあったのだろうか? 大いにあります。それは、
(1)室町時代の日明貿易(1404~1547年)で色々なものが明朝(現中国)から入ってきています。推測ですが、ヘチマもこの貿易で入ったのでしょう。
    その時日本は、すでには黒胡麻(へィチマ)があったのです。
(2)どちらも漢方医学で薬用食物にもなっています。《江戸時代:本朝食鑑》にも書かれています。
(3)現代では「へちまの黒胡麻和え」という料理もあります。また、「ヘチマ田楽」という料理で、ゆでたヘチマの上に黒胡麻(へィチマ)みそをのせているのです。 というように、お互いの接点は十分あったのです。
   この糸瓜と黒胡麻(へィチマ)の呼称がどこでどう取り違えられたかは分りません。見間違い、聴き違いはどこにでもあることです。検証もできません。 書物への記述の経過からみると、最初から「ヘチマ」と取り違えており、20数年後に「糸瓜」であることが分かったようです。--引用文献からの推定。
 結局、「ヘチマ」を「糸瓜」の俗名として現在まで両方が使われていたということになります。間違いはどこにでもあることです、この説が正しいとは言いません。
  が、1595年 《羅葡日対訳辞書》日本語でfechima(ヘチマ)という単語が出ていることを、真面目に考えなければならないと考えます。

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